いい考えが浮かばない・・・そんなときには手を動かそう

 

このブログでは、絵を描く、色を塗るなどのアート表現をすることで、心がラクになるんですよ ということを、再々お伝えして来ています。

アートによって、メンタルヘルスの向上を図ることができるのです。
「アートセラピー」と言って、欧米ではさまざまな場で活用されています。

ただ、「アート」というと、「苦手なんです」と尻込みをする方も多いんです。実際には、癒しの道具としてアートを使う場合には、難しいテクニックが必要なアートワークを行うことは、まずないんですけどね。

「難しそう」なイメージがあるのだとしたら、とっても、とっても残念です。

そこで、今回の記事では、「難しく考えなくても、誰でもアートはできる」ということ、
そして、そのことが人生において役にたつ ということをお伝えしたいと思います。

アートに関わる二つの壁

絵を描くなど、何か「アート表現」をするときに、壁になるものが二つあるような気がします。

「私は絵が苦手で」とか「下手なんです」と残念そうにおっしゃる場合、何を「苦手だ」と感じるのかというと、

ひとつは、「再現的に描くことができない」というもの。

ふたつめは、「アイデアが浮かばない」というものです。

「わかるように」描かなくてもいい


ひとつめの「再現的な描き方」についてですが、

これはいわゆる「本物そっくり」な絵が描きたいっていうことだと思うんですけど、

「本物そっくり」が「いい絵」だっていう価値感を捨てれば、ずいぶんラクになるのになあ~って思うんです。

例えば、抽象絵画。
何を描いているのか、わけがわからないですよね。でも「これは好き、これはあんまり好きじゃない」とか、何かの感想は持てると思うんです。

「わかる」必要なんて、ないんです。

服の生地の模様とか、デザインだとかを見て、「いいなあ」とか「似合うなあ」とか思うのと一緒です。

まずは「わかる絵」を描かなくちゃいけない、という呪縛を、捨ててほしい と思います。

アイデアは、手から生まれる

ふたつめの、「アイデアが浮かばない」については、「気にしないで、とにかくやってみましょう」というのが、最善策です。

実は、著名なプロのアーティストだって、はっきりまとまった「アイデア」に基づいて制作しているわけではないんです。

彫刻家、ムアの場合

たとえば、彫刻家ヘンリー・ムア。
ムアの作品は、著作権の関係で画像を載せられないので、メトロポリタン美術館へのリンクを貼っておきますね。

ムアの作品は、こちら

彼の制作過程について、美術研究家のリードは、こんなふうに書いています。

ムアはその芸術的形式の声明を自分がつくり出したとは主張しないーーーそれどころか、芸術作品にはそのものとしてのパーソナリティがとりつくのであって、このパーソナリティがデザインと形式上の諸性質とを統制するのだ、と主張するのである。

「見えざるものの形――美の哲学への序説――」p.96 ハーバート・リード 1960年 長谷川鉱平 訳 法政大学出版局 1973年

「パーソナリティがとりつく」!
物語作家のいうところの「キャラが勝手に・・・」現象と、よく似ているような気がしますよね。

画家、クレーの場合

次は、画家パウル・クレーの言葉です。

私をとりかこむ世界すべては姿を消し、作品がそれ自身生命あるかのように生れ出る。版画の果は、熟しきっては落ちてゆく。わが手は、みしらぬ意志の道具になりきる。

「クレーの日記 」 p.415  クレー著 ; 南原実訳 新潮社, 1969

作品は、「つくり出される」ものではなく「生まれ出る」ものなんだ、というわけですね。

クレーの作品は、これまた掲載できないので、メトロポリタン美術館のサイトでご覧ください。

クレーの作品は、こちらから

先ほど挙げたクレーの言葉などは、いわゆる「ゾーン」に入っているときのことを語っているようにも感じるので、
この域に達するのは、よほどの「才能」のある一部の人だけなんじゃないかという印象も持ちますが・・・

でも、プロでも素人でも、アートが生まれ出る回路は共通しています。

何にも考えずに、とにかく手を動かす。鉛筆でも、粘土でも、なんでもいいけど、何かに手を触れ、手を動かす。「アイデア」的なものは、そのプロセスの中に表れます。

アイデアは、頭の中にあるんじゃなくて、手から生まれるんです。

考えないでもできるアート


なにも世界中の人を感心させるような大傑作を作らなければならないってわけじゃないんだし、ぜひ気軽にやってみてほしいと思います。

何にも考えずに取り組めるおすすめのアートワークは、いろいろありますが、よかったら、以下の記事を参考にご覧くださいね。

考えるよりも、小さな行動

今回の記事では、アート表現が「心の健康」のために使えること、そして、そのためには、考え込まずに手を動かせばいいんだ ということをお伝えしました。

私は、この「とにかく手を動かす」ということは、制作活動のみならず、人生を乗り切るためにすごく大事なことだと思っています。

座り込んで、結果がどうなるかと思い悩むよりも、とにかく行動を起こすことで物事が進みだす・・・そういうことって、あるじゃないですか。日々の小さな行動から、悩んでいたことへの解決策が導かれることがある ということです。

もちろん、考えもせずに巨額の投資をするとか、そんな無茶苦茶はしないでくださいね。事前に考えてから行動しないといけない場面もありますからね!

オマケの情報:再現的な絵の描き方

最後に、これはオマケですが、「それでも本物らしく『わかる』絵が描きたい」という方に、おすすめのテキストをご紹介しておきます。

「写実的、再現的」な絵を描くコツは、実は「描き方」の問題ではなくて、「対象を、どのように見るか」という、「見方」がポイントなんです。

このテキストには、「見方」を学ぶためのエクササイズがたくさん紹介されていて、とても面白いですよ。

「脳の右側で描け 」ベティ・エドワーズ (著), 野中邦子 (翻訳) 河出書房新社

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