不可解なアートとの対話から、自己との対話へ

 

アート、特に「現代アート」と称される作品を見たときに、「なんじゃ、こりゃ?」「意味がわからん」と困惑することって、ありませんか?

でも、その「???」こそが、アートとの対話の始まり。そして、自己との対話の始まりなんです。

「きれい!すてき!」と、感嘆するだけでは終わらない、アートからの問いかけ。不可解なアートと向き合うことで見えてくる「自分」との出会い。今回は、それを考えてみようと思います。

六甲ミーツ・アート 芸術散歩

 

ここ神戸では、毎年秋になると、「六甲ミーツ・アート 芸術散歩」という催しが行われます。六甲山にある複数の施設が会場となって、屋内・屋外に、この期間限定のアート作品が展示されるんです。

六甲山を舞台に繰り広げられるこの美術展、「六甲山のエリア特性をじっくりと読み込み、自然や景観、歴史を取り入れた作品を各会場に展示します。」と、六甲ミーツ・アート事務局の発行物に書いてありました。

秋の自然とアートを一度に楽しめる一挙両得のイベント、私はいつも楽しみにしていて、毎年2~3回に分けて訪れます。
頑張れば1日で全作品を巡ることは可能だと思いますが、私は地元なので、無理せずゆっくり見て周っています。

 

今年は、六甲山小学校の児童がデザインした絵柄のスタンプでスタンプラリーができるという企画も登場。これもなかなか楽しめます。

 

素敵だとは思わないけど、気になる作品

さて、今回、お気に入りの作品はいろいろあるのですけど、なんだか考えさせられた作品をひとつご紹介します。

大西康明さんによる作品です。(作品の題名を記録し忘れました・・・) 高山植物園のショップ内の部屋に展示されています。

 

最初に目に入ったのは、3つの大きなポリ袋(直径2mくらい?)が、だんだん膨らんで大きくなっていく光景。

別に「美しい」ってこともない、半透明の白いものが膨らんでくるだけなので「なんじゃ、こりゃ?」というのが第一印象。

しばらく見ていると、見上げるほどの大きさに膨らんだそれが、次第にしぼんで、だんだん低くなり、袋で囲われた中に置かれたものが見えてきます。

台の上には、瓶やカップなど、レトロな風情のものが、きちんと並べて置かれています。

これらの物が、どういう基準で選ばれたのか、何か特別な思い入れのある物なのか、説明は一切ありませんが、とにかく、いわゆる「美術品」とか「工芸品」などと称される立派なものではなく、普通の日用品のようです。

そして、再び、内部に空気が送り込まれ、ゆっくりと袋が膨らんで、中身は見えなくなっていく・・・。

 

「なんじゃ、こりゃ?」と思いながら、でも、なんだか、この作品に、私は引き付けられたんですよね。

「魅力を感じる」というよりも、なんか、心がざわめく感じモヤモヤと引っかかる感じ・・・。

 

作品から受けた「モヤモヤ感」を探ってみる

いったい、この「引っ掛かり」は、なんなんだろう・・・。

 

膨らむことと、しぼむこと。それが繰り返されること。

膨らんでいるときには、大きく膨張した外側が見えていて、中は見えない。そして、たいして面白くもない姿になっている。

 

しぼんだときに、初めて、内包しているものが見える。
その時になって「あ、〇〇がある」とひとつひとつを見ようとする、関わりが生まれてくる・・・。

アートが「私の世界観」を問いかける

作品を見ているうちに、

人の営みとか、心の在りようとか、いろいろなことが思い浮かびました。

 

誰もが、外からは見えなくても、心の中に、いろいろなものを秘めているんだろうなあ・・・とか。

順調なときや自信に満ちているときには、心の中に大事にしているものが見えなかったり、見ようともしないってことがあったりするかもなあ・・・とか。

凹んだとき、自信を失くしてペッチャンコになったときにこそ、「私って、何を大事にしたいと思ってるんだっけ」なんて、本質的なことに目を向けるようになるのかも・・・とか。

見えている「外側」だけじゃなく、その人その人の「内側」へのまなざしを持たないといけないなあ・・・とか。

 

モヤモヤの「問い」が連鎖していく、とても心に残る作品でした。

アートで、自分との対話を紡ぐ

「なんだか気になる」「なんだか心がザワつく」・・・それは自分の中を探り、新しく自分と出会い直す作業となります。

もちろん、「美しいな」とか「面白いな」とか、シンプルに楽しめる作品もあるし、それはそれで値打ちがあるんだと思います。でも、アートによって心が動く経験が、「わあ、素敵な作品」というだけでは、もったいないと思うんです。

全然、素敵だとは思わないし、好きでもない、でも気になる。素通りできない感じを受けたなら、
「これの何に、どうして、私は反応しているんだろう?」って思いめぐらしてみてください。きっと貴重な「自己との対話」の時間になるはずです。

ぜひ、「???」と疑問符が浮かぶようなアートと出会う機会を、持ってみてくださいね。

 

「自己との対話」に関する記事は、他にもあります。よかったら、合わせてごらんください。

 

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