大切な人との死別。
生きていれば、遅かれ早かれ、誰でも必ず経験する出来事です。
それをどう受け止めるのか・・・・
「回復」とか、「立ち直る」とか、「癒し」とかじゃなく、
ゆっくりと、悲しみと共に生きていくこと。
その歩みを、あたたかく描いた本をご紹介します。

「ホイッパーウィル川の伝説」
キャシー・アッペルト アリスン・マギー 共著
あすなろ書房
もしあなたが、愛する誰かとのお別れを経験したばかりであれば、
もしかしたらこの本を読むのは、もう少し時間を置いてからの方がいいかもしれません。
でも、確実に、いい本です。
亡くなったあとも、絆は消えない。
これまでとは違う形で、いのちは重なり合っている・・・
そのことを、あたたかく、しみじみと描いている作品です。
物語の主人公、ジュールズは、「石マニア」で、
拾ったり採掘したりした石を分類したり並べたりするのが趣味の、のんびりや。
物語の7年前には、二人は母親を突然の心臓発作で亡くし、今は父親と姉妹ふたりの、3人暮らしです。
ある雪の朝、ジュールズは、突然のアクシデントで、姉のシルヴィを失うことになります。
「あのとき、シルヴィを、もっと強く引き止めていれば・・・・」
ジュールズは、罪悪感と悲しみに打ちのめされるのです。

さらに、彼女の親友、サムの兄の死に関しても語られていきます。
彼の二人の兄は、一緒に戦地に赴き、故郷に戻ったのは一人だけだったのです。
母、姉、親友の兄。
この3つの喪失の物語に、
特別な魂を宿した存在「ケネン」であるキツネとピューマの物語が、加わっていきます。
故人との新しい絆が生まれ、
不思議な関わりの中で、ジュールズは新しい歩みを始めるのです。

悲しみは消えない。
以前の私には、二度と戻れない。
だけど、死んでしまったあの人は、消えてしまったわけではなくて、
新しい絆を形作りながら、一緒に生きていく。
悲しい物語だけれど、あたたかい気持ちが残る本でした。
ぜひ読んでみてくださいね。
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