アートセラピーで、人生をあたたかく受け止める

今回は、アートセラピーのワークのご紹介です。

自分の歴史、自分の生きてきた日々を、あたたかい気持ちで振り返ることができるアートワーク、「ライフ・タペストリー」です。

生きていれば、いろんなことがありますよね。嬉しいこと、幸せなことだけで出来ている人生なんてものは、ありません。でも、このアートワークでは、嫌だったことや辛かったことも含めて「私の生きてきた時間、悪くないよな」という気持ちで、人生を眺めることができますよ。

アートセラピーとは

アートセラピーとは、造形表現活動を通じて心身の健康づくりをしていく心理療法の技法です。日本ではまだ知名度が低いのですが、欧米ではポピュラーなものなんです。

アートセラピーについてはこちらの記事で説明していますので、よかったらご覧ください。

ライフ・タペストリー

さて、今回ご紹介する「ライフ・タペストリー」は、

自分の人生の出来事を心に描きながら選んだ横糸をフェルト布に織り込んでいくワークです。

「生まれてから今日までの人生」をテーマにするなら、例えば、

「赤ちゃんの頃はこんな優しい色、こんな柔らかい手触りのイメージかな」
「隣の家の○○ちゃんとよく遊んだなあ。この思い出に合うのはこのリボンかな」
「受験はしんどかった。あの時期のイメージは、暗い色のこの毛糸かな」・・・・って感じです。

もちろん、思い出の色や触感に、決まった「正解」なんてありません。「なんとなく」です。

テーマは、人生を長期的に振り返る以外にも、「1年間を振り返る」でもいいでしょうし、「学校生活を振り返る」というふうに場面を絞ってもいいでしょう。ある特別な「思い出の1日」を作品にするのもすてきですね。

上の写真は、私が制作した試作品です。

ライフ・タペストリーの作り方

作り方はシンプルで、要は「織物」。縦糸に横糸をくぐらせていき、一段一段進めていく、あれです。

凝った精巧なものにすることもできますが、今回は、「不器用さん」でも安心な、簡単な方法をご紹介します。

主な材料・用具
大型のフェルト布(縦糸用)
リボン、レース、チロリアンテープ、細く切ったフェルト布、モールなど(横糸用)
ボンド
ハサミ
制作手順
① 大判のフェルト布に、縦に切り込みを入れる
② 横糸を通して織っていく
③ 端の始末をする
④ 好みで装飾をする

では、もう少し詳しく解説しましょう。

①大判のフェルト布を好みのサイズに切ります。

②大判フェルト布に、縦に切れ目を入れます。のれんのような感じになります。


切りこみの幅は、指1本くらいの幅がおすすめです。
あんまり細かく、ほそく切れ目を入れてしまうと、たぶん、面倒になってくると思います。(細かい作業がお好きなら、細切りでも問題ないです)
幅を均等にせず太いの、細いのと変化をつけたり、斜めに切ったりするのも面白いです。

③横糸を縦糸に通していきます。上、下、上、下、と、交互に。「織物」のやり方です。

ただ、通常の織物では、横糸が端まで行ったら折り返してくるのですが、「ライフ・タペストリー」では、端まで到達したら、新しい横糸に替えて、次の段に進みます。

また、通常の織物では、一段一段、隙間が空かないようにキッチリ詰めて織っていきますが、このアートワークでは必ずしも詰める必要はありません。密にしたければ詰めるし、あえて段の間を広く残して余裕を持たせるのがしっくりくるなら、そうするし、お好みで。

④横糸を通す作業が終わったら、端の始末をします。

横糸の端が、フェルト布の左右の端よりもはみ出ていると思いますが、はみ出ていない方が好きだったら、ハサミで切って整えます。切らなくてもOKです。案外、切り落とさず左右がラフな感じで残す方がいい感じという場合もあります。

私の場合、実は、切り落としてしまってから「切る前の方がよかったな」とちょっと後悔しました。

あとは、横糸の端が浮いていると思いますので、位置がずれてしまわないように留めます。横糸の端をフェルト布にボンドで接着するのが、いちばん簡単だと思います。でも、針と糸で縫い留めたいという人もいるかもしれませんね。

⑤好みで、装飾を追加します。小さなリボンや花、ポンポンなどをくっつけると、違った感じになりますよ。

こうした小さなお飾り素材は、百均ショップでもたくさん売っています。

ライフ・タペストリーの活用

高齢者施設、就労支援施設、地域活動支援施設、不登校の子ども支援等でこのアートワーク・プログラムを実施しましたが、老若男女問わず好評でした。

「これが私なんだなあ。しんどいこともあったけど、悪くない人生」と、作品を眺めながら話してくださる方もあって、しみじみ、いい時間が過ごせたプログラムでした。

「ライフ・タペストリー」、ぜひ作ってみてくださいね。
壁に飾って、日々眺めて過ごせば、「生きてきた自分」をいつくしむ気持ちになれると思います。

なお、今回は「思い出」「自分ヒストリー」としてご紹介しましたが、「未来の夢」とか、「家族や仲間との絆」とか、さまざまなテーマ設定で扱うことができる、おすすめのアートワークです。

参考書籍

なお、このアートワークは、「学校でできるアート・アズ・セラピー 心をはぐくむ『ものづくり』」(栗本美百合 著、誠信書房)を参考にしました。
この本は、アートセラピーのすてきなメニューが紹介されているだけでなく、どうして「ものづくり」が心に働きかけるのかという理論についても詳しく書かれています。

このブログでは、他にも、おすすめのアートワークを紹介しています。よかったら覗いてみてください。

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