自分の創造性を伸ばす、二つのアプローチ

 

この記事に目を留めてくださったあなたは、きっと「何かを制作すること」に関心があるのだと思います。

でも、「作る」といっても、実用的なものの制作と、アート表現活動とでは、そのアプローチや結果に明らかな違いがあります。

この記事では、実用的なものの製作と非実用的なアート制作の違いに焦点を当てて考えてみます。それぞれのアプローチがもたらす創造的な満足感について、一緒に見ていきましょう。

実用品の製作:私の場合

私は最近、布小物の製作にハマっています。

始まりは、仕事上の必要からでした。

私は特別支援学校で勤務していまして、「作業学習」という授業で、布製品の製作を指導しなくちゃいけないということになったんです。作った製品は販売するので、お金をいただけるレベルの出来栄えに持ち込まなくてはいけません。でも、教職員が必死で仕上げて販売する、というのは嫌だなと思ったんです。そこで、工程がシンプルで、生徒が自力で製作できるものを ということで、あれこれ試作を繰り返しました。

それで、どうにか、これなら!と思えたサンプルのひとつがこちら。スマホポシェットです。複雑ではない手順で、まあまあ見栄えのよい製品ができそうだなと思っています。

しぶしぶ、仕方なく始めた布製品の試作でしたが、けっこうこれが面白くなってきまして。

今では、仕事抜きで、自分のバッグをこしらえたりもするようになりました。

実用品って、出来上がると、なかなか満足感がありますね。嬉しくて、完成品をいつまでもしげしげと眺めてしまいます。

実用的なものの製作と、アート制作の違い

この経験で感じたのは、「ものをつくる」といっても、実用品をつくることと、アート表現活動は、その過程も結果も、ずいぶん違うなあ…ということでした。

以下、どんな特徴と違いがあるかを見ていきますね。

実用的なものの制作:計画と予測可能性

実用的なものを制作する際には、計画的なアプローチが不可欠です。仕上がりを予想し、目標に向けて段階的に進んでいくことが求められます。

このアプローチには、予測可能性安定感があります。

今どきは、作り方を事細かに教えてくれる動画がたくさんありますよね。どんなものが出来上がるのかをあらかじめ見てから、取り掛かることができます。指示通りに、ひとつひとつの手順を進めていけば、予定通りの作品が完成するのです。そして、なかなかの充実感や満足感が得られます。

一方、それが期待通りの仕上がりにならない場合には、失敗感も伴います。

布製品づくりであれば、間違って切ってしまったとか、説明動画のようには綺麗に縫えなかったとか、ですね。ほんの少しサイズを間違えただけなのに、全く使い物にならない場合もある。これはかなりガックリきますねー。

非実用的なアート:不確実性と創造性の自由

アート制作では、制作者が結果を完全に予測することは難しいです。非実用的なアートは、不確実性が特徴です。

でもそれは、言い換えれば、創造性の自由があるということなんです。

予測不可能性は、新しいアイデアや視点を生み出します。「さあ、次はどうしようかな?」の連続が、アート表現です。

そのアートが非常に精巧で緻密な場合、その工程は、望む結果に向けて計画的に進んでいっているかのように見えるかもしれませんが、そうではありません。今、自分が置くこの色がどんな効果を生み出すのか、それを実際に見て確認してから、制作者は次の一筆を決めます。

作品が「こんな感じになったよ、どう?」と問いを投げかけ、それに対して制作者が「じゃあ、これでいってみるよ、どうなるかな?」と応じる。そのやりとりが作品の方向性を決めていくんです。

アート表現は、いわば、作品と作者とのコラボ制作なんですよね。

「自分の思い通りには進まない」ということが、制作者に独自性や自己表現の機会を提供します。予定外の結果になっても、それは失敗ではなく、逆に作品の魅力になるんです。

両者の違いと価値

実用的なものの制作と非実用的なアート制作の違いには、それぞれの価値があります。

実用的なものの製作は、日常生活に役立つことが期待されます。
そして、作品を完成させることで、実際にその成果物が役立つというだけでなく、自己有用感を高めることができます。

一方で、非実用的なアートは、創造性や表現の自由が前面にあります。
予測不可能な成果が新しい視点を与え、感性を刺激してくれます。それは子どものような遊び心を蘇らせ、心の余裕を生み出すことができるんです。

結論: 創造性の幅を広げる二つのアプローチ


結局のところ、実用的なものの製作と非実用的なアート表現は、どちらも創造性の幅を広げる活動です。

実用的なものを作ることで安定感を得る一方で、非実用的なアートは新しいアイデアや感性を追求する冒険の場として捉えることができます。

もし、あなたが、自身の創造性に疑問を感じているなら、

制作のプロセスや結果に対する期待を一度リセットして、新しいアプローチに挑戦してみてはどうでしょうか。自由な発想と計画的なアプローチのバランスが、新たな才能や視点を発見する手助けになるでしょう。

予測不可能性を体験する機会

ただ、予測不可能なアートを体験するための場は、本当に少ないのが現状ではないかと思います。

絵を描くためのテクニックに関する情報はいくらでもみつかります。この色を、この濃度で、このような筆遣いで・・・というような動画や講座が、たくさんありますね。

でも、予定通りではない、創造的な冒険を体験する機会を得ることは、案外難しいのではないでしょうか。

当ブログでは、予測不可能性を楽しむためのアートのアイデアを、いろいろと紹介していますので、よかったら、ぜひ試してみてくださいね。

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