絵を描くとき、心を健康にする画材とは?

鉛筆、絵の具、オイルパステル・・・などなど、絵を描くときの用具(画材)にはさまざまなものがあります。

「絵の具を使うと失敗しちゃって、嫌な思い出しかない」とか、「鉛筆なら気軽に描けて好き」だとか、得意・不得意にかかわることだけでなく、実は画材選びは、描く人の心理状態にも大きく影響を与えます。

今回の記事では、それぞれの画材が、心にどんな働きかけをするのかをご紹介します。

さまざまなアート画材

このページに目を留めてくださったあなたは、絵を描くことが好き、あるいは関心があるんだと思います。

あなたが好んで使う画材は、どんなものですか?

鉛筆、色鉛筆

オイルパステル(いわゆる「クレパス」ってやつです。クレパスというのは商品名なので、ここではオイルパステルと呼びます)

パステル、チョーク、コンテ

絵の具(水彩絵の具、アクリル絵の具、油絵具、テンペラなど)

カラーペン、マーカー

私自身は、鉛筆を使って絵を描くのが好きなんです。

なぜ鉛筆で描くのかというと、第一の魅力は、手軽さです。準備や片付けの手間がかからないので、取り掛かりやすいんですよね。そして、鉛筆は、周りをひどく汚すこともないので、その点でも気楽です。

下の画像は、私の鉛筆画です。

 

カラーペンを使うこともあるのですが、私が好きなのは水性のペンです。水でにじませて、色と色が融合されていくのを見るのが好きです。だから、これは、ペンを使ってはいるんですけど、実は水彩絵の具として扱っていると言っていいのかなと思います。

こんな感じです。

 

鉛筆と水彩絵の具

今回は、鉛筆と水彩絵の具を比較して、その特徴を見ていきますね。

ただ、冒頭にお伝えしたように、この記事の目的は、画材の特徴を心の健康に役立てる というところにあります。なので、画材の特性を使いこなして上手に描けるようになりましょうということではないので、ご了承ください。

キーワードは「コントロールのしやすさ」です。

心のありようが、絵の具の扱い方に現れる

一言で言うと、鉛筆はコントロールしやすい画材。水彩絵の具はコントロールが難しい画材です。

小学校の図工だと、絵を絵の具で仕上げるよう指定されることが多かったんじゃないかと思いますが、

意に反して、隣り合った色がブワーっとにじんで混ざってしまい、大慌てをした経験がある方は、多いのではないでしょうか。

絵の具は、水で流れ、動きます。定まりにくい、コントロールが難しい画材です。絵の具を意図どおりに操作するには、水加減の調整や筆の選択、手指の技巧性など、かなりの自己調整力が必要です。

絵を描く能力の問題ではなく、心のコントロールがうまくいかない状態だと、絵の具をコントロールして扱うことができないんです。

私は小学校の図工教員として勤めた期間が長いのですけど、絵の具を使うと壊滅的に絵がグチャグチャになる子は、普段の生活で情緒のコントロールが難しい子でした。静かに黙っていることができないとか、カッとなってすぐ手が出るとか、そういう問題を抱えている子は、絵がドロドロになるだけでなく、パレットの上も全色混ざり合って泥のようになってましたね。

つまり、心の状態が絵の具の扱い方に現れているわけです。

絵の具の使用が心に及ぼす力

そして、心の在りようが絵の具の扱い方に現れるというだけでなく、絵の具を使うことが、心に影響を与えもします。

例えば、深刻なトラウマ反応の中にある人には、絵の具を用いての描画活動は、禁忌とされています。絵の具の流動性が、心の氾濫を助長してしまうからです。

東日本大震災の際、福島の避難所でのアートセラピー提供に関わったことがあります。そこでは、震災直後には絵の具の使用は避けていました。私がアートセラピー・チームに参加したのは震災から2~3か月経った頃でしたが、「そろそろ絵の具を導入してみようか」と慎重に話し合っていたことを思い出します。

逆に、感情が乏しく、制御しすぎている人にとっては、絵の具の流動性に触れることが、感情の発露を促します。

アートセラピーのセッションでお会いしたうつ病の男性は、とても知的で、理路整然とお話をなさるのですが、感情が凍り付いているような状態だったんです。そこで、水をたっぷり使って絵の具をにじませ、紙の上で流す遊びを提案しました。この男性は、数か月のセッションを振り返って、「絵の具遊びを始めてから、自分は劇的に変わった」とおっしゃってました。

鉛筆の使用が心に及ぼす影響

逆に、鉛筆は、コントロールのしやすさが特徴です。にじんだり流れたりすることがなく、自分の手の動きに沿って、鉛筆の粒子が紙に定着されます。濃度も、自分の手指の力加減で調整できます。

「消しゴムで消せる」というのも、他の画材にはない特性じゃないかと思います。だから、「失敗したらどうしよう」と心配な人にとっては、「消去できる」という鉛筆の性質は、大きな利点になるでしょう。

トラウマから受けた心の傷が生々しい時期には、このような画材を使って「コントロールできる」という体験を積むことが、心を整えるのに役立つとされています。

でも、もしも、書いては消し、書いては消し・・・を繰り返すばかりのような停滞状態にあるならば、鉛筆を使った描画は、心の健康回復という効果にはつながりにくいでしょう。まあ、鉛筆は、絵の具のように押し流すパワーはないので、鉛筆を使うのが「禁忌」とまではいかないでしょうけど・・・。

アートセラピーと画材

いかがでしたか。

今回は、鉛筆と水彩絵の具の特性を比較して、それぞれの心理的効果について解説しました。

色、形、素材の力で心にはたらきかけるアートセラピーは、心の状態に合わせて素材を選択し、クライアントさんに提供していきます。

あなたも、素材の力を心の健康に役立ててみませんか?

お勧めのアートプログラムを、当ブログではいろいろご紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

また、関心を持ってくださった方は、ぜひ私に声をかけてくださいね。コメント欄というものを設けていないので、ご感想等は「お問い合わせページ」からどうぞ。

 

 

 

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