固まった心をほぐす:自由な自分を取り戻す方法

子どもみたいに単純に遊ぶ心を取り戻そう

あなたは、日々のルーティンの中で、閉塞感を覚えることはありませんか。
心が息苦しさを感じたり、固まって自由さを失ってしまったように感じることはありませんか。

もしそうならば、無心に絵を描くことは、最高のリフレッシュ方法です。

 

 

実は、絵を描くということは、人の原初的な快感と結びついているんです。

絵を描いたり色を塗ったりすることで心を癒す心理療法「アートセラピー」の効果も、この「快感」との関わりが大きいのです。

 

今回は、絵が「快感」を生み出し、心に働きかける力について考えます。

「絵が苦手」の意味は、「絵を批判されるのが嫌」

絵が「快感」などというと、
「私は絵を描くのが苦痛でしかなかった」という反論が聞こえてきそうですね。

 

でも、多くの場合、絵が苦手というのは、「描くこと自体が嫌」なのではなくて、「絵を批判されることが不快」ということなのではないでしょうか。

誰かに「下手だ」とけなされたり、笑われたりした思い出があるのかもしれません。あるいは、自分自身で、「下手だな」と否定的なジャッジをしてしまったのかもしれません。

 

でも、ここでいう「上手、下手」の基準は、なんでしょう。

たいてい、写実的なリアリティとか、技巧的な精緻さを求めて言っているのではないでしょうか。

 

でも、絵を描くことの意味は、視覚的な再現をすることではないのです。
これを基準にした「上手・下手」のジャッジを手放しましょう。

お手本は、初めて絵を描き始めた2歳児です。

2歳児の絵

絵を描くことをわざわざ教えなくても、幼い子どもは自然に絵を描き始めます。

1歳半から2歳ごろ、物をつかめるようになった子どもにクレヨンとかペンを渡すと、
彼らは手を動かして、紙の上にグルグルと線を描きます。

 

もちろん、初期には、絵を描いているなどというつもりはなくて、手の運動のようなものなのでしょうけど。
とにかく、最初は意味のない「なぐり描き」。ただのグチャグチャです。
初めからリンゴだとかママだとかの意味づけをして描く子どもはいません。

 

最初の「絵」。ここに「上手・下手」の概念はありません。

単純に楽しむだけ。
「上手に描こう」という意識が入り込んでくると、次第に、絵を描くのが嫌だという子どもが増えてくるんです。

チンパンジーも絵を描く

チンパンジーも絵を描きます。彼らの絵は、ヒトの子どもが描く「なぐり描き」にそっくりです。

私は、チンパンジーたちは「絵を描く」という芸を仕込まれているのかと思っていたのですが、そうではないらしいんです。
絵を描くときには、食べ物などのご褒美が必要なく、彼らはとても喜んで取り組むそうです。
動物園での生活を充実させるためのレクリエーションとして、描画活動を取り入れているところもあるくらいなんですって。

 

つまり、絵を描くことは、遊び。
絵を描くこと自体が、ご褒美なんですね。

 

チンパンジーたちは、紙の上でペンを動かし、線や点が現れてくることを楽しみます。

ただ手を動かすことを面白がっているのではないんです。その証拠に、ペンがインク切れして描けなくなると、たちまちやめてしまうそうです。

 

チンパンジーとヒトの絵を比較研究している齋藤亜矢さんは、こんなふうに言っています。

描画では、手を動かす行為に即応して、描線が現れる。はっきりとした視覚的なフィードバックだ。

「ヒトはなぜ絵を描くのか 芸術認知科学への招待」齋藤亜矢2014  岩波書店 p.75 

意味なんかいらない。ただ描いてみる

どうでしょうか。先に、絵を描く原点として「お手本は2歳児だ」と言いましたが、「チンパンジーの描画がお手本だ」といってもいいかもしれません。

2歳児やチンパンジーのように絵を描くなんて言われると、馬鹿にされたような気がしちゃうかもしれませんが、
「上手に描かなければ」という呪縛から自由になるには、このくらい思い切り、原点に立ち戻った方がいい。

 

ただ、好きな色のペンやクレパスを手に握り、紙の上で無心に動かす。
そして、現れ出てくる軌跡をただ眺める。
ぜひ、この気持ちよさを味わってみてください。

「ぐるぐるぐる」だけでもいいし、「ギザギザ」とか「なみなみ」とか、いろいろな方向転換を入れてみるのも楽しいです。
心の赴くままに、自由に。

 

なぐり描きの絵でデトックス

こんな描画は「大人の常識」から見れば、実に無駄で、馬鹿馬鹿しいものに思えますよね。でも、それが値打ちなんです。

 

理屈や常識を離れて、単純に遊ぶ快感。

周囲の都合や期待に合わせて協調的に生きている日々からの、小さな逸脱、エスケープ。

 

 

これはいわゆる「童心に帰る」体験 です。
「心理的退行」と言ってもいい。

退行というと、成長と逆方向の、望ましくないことのように聞こえるかもしれませんが、
この「退行体験」は、心のデトックス、浄化作用をもたらす大事なもの。

 

心理療法の場では、心理的退行が心の回復過程で鍵になる場合も多いのです。

アートセラピーの効果

今回は、描画が心の健康回復に役立つものだということをご紹介しました。ぜひ気軽に、やってみてくださいね。

 

アートセラピーでは、このように、絵が苦手であっても取り組める簡単なワークを使いながら、心に働きかけていきます。

セラピーの場で描画をどう扱うかは目的によってさまざまで、
「グルグルぐしゃぐしゃをやって、それでおしまい」という方法もあれば、
このなぐり描きの絵を「何に見えるか」と想像して加筆をしていく方法もあります。
できた「絵」をもとに話し合ったり、物語を作ったりする過程を加える場合もありますし、
グループワークとして一緒に取り組む場合もあります。

 

おひとりで取り組むことにも、じゅうぶん意義がありますけど、
より深い体験をしてみたい方は、ぜひアートセラピストと一緒に取り組んでみてください。

 

 

 

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