絵を描く、単純な喜びを取り戻そう

 

あなたは、絵を描くのがすきですか?

ある調査によれば、成人の半数以上の人が、絵を描くことへの苦手意識を持っているんだそうです。

私は図工・美術の教員ですし、アートセラピーという美術を活用する心理療法にも関わっている立場なのですが、私のこれらの活動を知ると、「私は絵が苦手なんです」などとおっしゃる方が、とても多いです。

そして「絵が描ける人がうらやましい」なんて言葉もよく聞きます。多くの人が、「自分は絵が描けない、だけど描けたらいいのになあ」という思いを持っているということなんでしょうね。

今日は、そもそも人はなぜ絵を描くのか、そして、なぜ「絵が描けない」ということになってしまうのかについてのお話です。

太古の昔から、人は絵を描いていた

人は、なぜ絵を描くのでしょうか。

遠い昔から、人は絵を描くという行為を続けてきました。
世界最古と言われている絵は4万5000年前なんだそうです。インドネシアの洞窟で発見されたイノシシの絵が、最古のものだと言われています。(上の画像は、その壁画ではありません、イメージです)

「獲物が捕れますように」という願いを込めた呪術的な意味があるのではないかとか、絵を描き始めた理由については、さまざまな推測がされていますね。

絵を描くのは「面白いから」

でも、芸術認知学者の齋藤亜矢さんは、人が絵を描く動機を、ずばり「面白いから」と言い切ります。

齋藤亜矢さんは、チンパンジーの描画と子どもの描画を合わせて研究し、絵を描くとはどういうことなのかを研究している方です。

 

チンパンジーが絵を描くというのは有名ですよね。
クレヨンを握って、画用紙の上で縦横に動かし、なぐりがきのような絵を描くチンパンジーの姿を、動画などで見たことがある人も多いのではないでしょうか。

 

あの描画行動、実は、エサなどのご褒美をやって仕込んだ「芸」ではないんですって。

彼らは、絵を描くことをとても楽しみにしていて、そのときにはご褒美なんて必要ないのだそうです。動物園で、類人猿たちの生活を充実させるためのレクリエーションとして取り入れているところもあるのだとか。

クレヨンやペンを握り、手を動かすと紙の上に色や線の軌跡が現れる。その面白さ自体が喜びなのだと言います。

単なる手の運動ではない証拠に、鉛筆の芯が折れたりペンのインクが切れたりして色が出なくなると、彼らはすぐに描くのをやめてしまうそうです。

「描画では、手を動かす行為に即応して、描線が現れる。はっきりとした視覚的なフィードバックだ。」
「ヒトはなぜ絵を描くのか 芸術認知科学への招待」p.75  齋藤亜矢2014  岩波書店

 

小さい子どもも、きっとそう。自分の手の動きにつれて、色が線とか点々とかの跡を残していく、そのことへの驚き、ワクワク感それは、子どもにとって、ものすごく大きな発見なのでしょう。

絵を描く喜びを奪うものは・・・

それなのに、いつのまにか、人は、絵を描くことを単純に「面白い」とは思えなくなっていってしまいます。これはどうしてなのか。

子どもが自由に絵を描けなくなる・・・それはどうやら、大人の妨害 のせいのようです。

もちろん、そのとき大人は、邪魔しようなどとは露ほども思っていません。でも、子どもがただ楽しんでいるんだということを理解せず、余計な口出しをしてしまう場合が多々あるようです。

 

そのひとつが「上手ね」という誉め言葉。

 

褒めて何がいけないのかと思うかもしれませんが、「上手ね」と言われれば、子どもは親を喜ばせたいと思い、褒められるためにはどう描けばいいのだろうかと、大人の反応をうかがうようになります。

絵を描く動機が、「面白いから、楽しいから」ではなく、「大人に褒められる”上手な絵”を描きたい」に変わってしまうんです

そして、実は「絵が好き」「絵が得意」という人も、他人の評価という呪縛から自由になることは難しかったりするんですよね・・・。あなたは、どうですか?

純粋に絵を楽しむ心を取り戻そう

あなたは、絵を描く楽しさを、覚えていますか?

上手かどうかなんて、他人の評価を気にせずに、初めてクレヨンを握った子どものように、絵を楽しんでみたいと思いませんか?

 

純粋に絵で遊んでみる。
誰に褒められることもない、無駄で、自由な遊びの時間。
それは、自分らしさを取り戻す、解放の時間になります。

 

もしよかったら、一緒にアートで遊ぶ時間を、すごしてみませんか?興味があれば、ぜひお問い合わせくださいね。

 

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