自分で自分の気持ちがわからない。そんな経験はありませんか。

 

いや、むしろ、「いつでもクリアに、自分のことがわかっていて、何の迷いも悩みもありません!!」っていう人は、いないんじゃないでしょうか。

 

何がしたいかなんて考える余裕もなく、がむしゃらに頑張る日々、かもしれません。
でも、自分の心と向き合ってみることって、とっても大事。

 

今、自分はどこにいて、何を思っているのか。本当は何をしたいのか。
絵を描くことでそれを知ることができる、ひとつの方法をご紹介します。

心理療法の場で広く活用されている「風景構成法」という技法です。

風景構成法とは

風景構成法は、精神科医の中井久夫氏によって1969年に開発され、以来、多くの実践が積み上げられてきました。

当初は、統合失調症(当時は「分裂病」と呼ばれていました)患者の治療方針を見定めるためのテスト的なものとして導入されたようです。
その後、この技法が、治療としても有効 であることが、広く認められていきました。

 

 

セラピストから順番に10種類のアイテムが教示され、それに沿って絵を描きます。
何を描くのかを指定されるので、「思いつかず困る」という事態になりにくく、気軽に取り組めます。
また、もちろん教示されたものについて「描かない」という選択も有りです。

 

もともとは、セラピストの教示に従って絵を描いていくものなので、まずはそのやり方でご紹介します。
セラピストと共に行うことが理想ですが、
これを参考にしてご自身で絵を描いていただくことは、もちろんできます。

 

風景構成法の手順

◆ 用意するもの ◆

A4サイズの画用紙、黒サインペン、クレパス。(鉛筆・消しゴムは使用しません)
彩色用の画材としては、クーピー鉛筆なども使いやすいでしょう。

 

◆ 手順 ◆

① 枠づけ
セラピストが、画用紙にペンで枠を描きます。

この「枠づけ」は、必ず目の前で描いて見せることが重要だとされています。
この「枠」が、心の安全・安心を保証する働きをするのです。

 

② アイテムを描く
枠づけされた画用紙に、セラピストの教示に沿って、順にアイテムを描き、風景を表していきます。
このとき、必ず、教示された順に進めていくことが大事です。

(1)川    (2)山    (3)田(畑でもよい)    (4)道

(5)家    (6)木    (7)人

(8)花    (9)動物(哺乳類でなくてもよい。生物を描けばOK)    (10)石  

さらに、足らないと思うものがあれば、追加して描いてください。

 

③ 彩色する
色は、何からでも好きな順番で、好きなように塗ってください。

描画は、以上です。

完成した絵を眺める

完成したら、セラピストと作者とが、絵を一緒に眺めます。

絵を描く行為自体にも治癒的効果はあるのですが、
「風景構成法」の醍醐味は、描画後の語りにあると思います。
セラピストと一緒に行う方がいいと思う理由は、そこです。

 

絵を眺め語り合う時間は、「上手に描けたね」的な、批評会ではありません。
上手、下手は、まったく関係ありません。

自分では、「ただ何となく描いただけ」なのですが、
絵を「第三者の目」を通して見てみると、いろいろな発見があります。

「あれっ?なんで私、こんなふうに描いたんだろう?」という違和感を発見して、そこから、これまで意識していなかった自分の状況や気持ちに気づくこともあります。

 

風景構成法の作品

 

これは私が2年前に描いた風景構成法の作品です。
今回、久々に見てみると、なかなか、自分で興味深いです。

棚田を描いたことが、この絵の大きな特徴かな。

田は、自分が手間をかけて育て上げるもの、つまり仕事などを象徴すると言われています。

この絵を描いた頃、私は、3年間積み上げてきた仕事の区切りを迎えたところでした。
「頑張ったな~、私!」って、ちょっと誇らしく感じていた当時の気持ちを思い出しました。

 

当時なんとも思わなかったのに、今見ると奇妙に感じる点もあります。

 

川に橋が架かってるんですけど、微妙なアーチ状・・・。
はっきりと太鼓橋になっているならまだしも、中途半端に盛り上がってて・・・

 

実は私の風景構成法は、毎回、こんな橋が登場しているんですよね。
平らな橋にしとけば、スムーズに渡れるのに。
なんだかここでヨイショってしないと渡れない感じです。

 

川は感情や情緒の象徴 と言われているのですが、
その解釈を受け入れるて考えると、なんだか「ああ、私って、そうかも」って得心しました。
私は、気持ちを表現するとか素直になるとか、そういうことには、「ヨイショ」と、ちょっと気合を入れないとできない面があります。一応、橋を渡れるんで、できないわけじゃないんですけどね。

アイテムが象徴するもの

先の説明で、「象徴」という言葉が出てきました。
一応、それぞれのアイテムが象徴している事柄を挙げておきますね。

●川・・・情緒   ●山・・・目標

●田・畑・・・仕事や勉学   ●道・・・人生の方向   

●家・・・家庭、または見られたい自分

●木・・・自分のエネルギー   ●人・・・自分   

●花・・・愛情    ●動物・・・普段おもてに出さない自分   

●石・・・障害物

 

ただし、これは「~という場合が多い」「~かな、と思われる」くらいのつもりで考えてください。

 

絵の意味というのは多層的なものだし、
その人その人で抱くイメージ、意味合いは異なってきますので。

 

ただ、一般的な象徴的意味を知って見ると、
「ほお~、私の情緒(川)は、ずいぶんカーブしてるなあ、そして流れの中に何か障害物があるなあ」なんて、さらに自分の状態を考えてみる材料になりますよね。

 

関心がある方は、こちらの本をどうぞ。

本「風景構成法」

「風景構成法  その基礎と実践」 皆藤 章  (誠信書房)

 

風景構成法のご紹介でした。
もし「風景構成法」を名田文子といっしょに試してみたいと思われた方があれば、コメントでお知らせください。

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