
心が乱れるとき。
悲しみに胸がふさぐとき、悔しくて叫びだしたいとき、孤独感にさいなまれるとき・・・・
そんな心の嵐を鎮めるために、あなたは何をしますか。
映画「彼らが本気で編むときは」を例に、
心を鎮めるのには「儀式」が役立つ ということをお話します。
映画「彼らが本気で編むときは」
映画「彼らが本気で編むときは」は、2017年に公開された萩上直子監督作品です。
生田斗真がトランスジェンダーの女性を演じたことでも話題になりました。
(以下、ネタバレを含みます)
生田斗真が演じる女性・リンコと、彼女のパートナーであるマキオのもとに、姪のトモがやってきます。
トモの母親が突然失踪してしまったため、急遽、この3人の共同生活がスタートすることになるのです。
トランスジェンダー女性に初めて接して、戸惑うトモ。でも、リンコの暖かさに触れ、トモは次第に心を開いていきます。
リンコの「儀式」

リンコはよく編み物をしているのですが、
ある日、トモがブチ切れて大暴れした際に、リンコは、自分が編み物でいつも心を鎮めてきたことを話します。
「ちくしょう、ちくしょう」って言いながら編むんだ・・・と。
リンコは、あるものを大量に編んでいます。
それを「わたしの煩悩」だと言い、
「108個編んだら、それを燃やすの」と、自分の計画をトモに打ち明けました。
それからトモも、リンコに教わりながら、「煩悩」を一緒に編むようになるのです。
「煩悩」を編むこと、そして「燃やすこと」。
これは、リンコが心の区切りをつけるための大事な儀式でした。
儀式の役目
儀式って、心を落ち着かせるために、大切なことなんですよね。
生きていくうえでの節目。
「これで終わりです」という区切りを確認することで、
新たなスタート地点に立つことができるんです。

学校でも、入学式とか卒業式とか、やっぱり「なんとなく終わる」のとはちがいますよね。
細かく言ったら、学校って「始業式・終業式」って、いちいち「式」がありました。
面倒だなあとずっと思っていましたが、案外、心の区切りにとっては無駄なことじゃないんですよね。
(もっと退屈じゃないやり方をしてほしいとは思いますけどね)

誰かが亡くなった場合にも、大切な儀式があります。
昨今は、葬儀をしないですぐに火葬をしてしまう(直葬っていうらしいです)ことも珍しくないようですが、
セレモニーを省略することが、遺族の悲嘆を長引かせ複雑化させてしまうことにつながる場合があるのです。
(葬送に関わる費用や手間は大きいから、省いてしまおうという気持ちはわからないでもないのですが・・・)
グリーフケア(悲嘆のケア)においては、儀式は特に重要です。
「オリジナル儀式」のすすめ
心の整理のために、ぜひおすすめしたいのは、
リンコのように、独自の儀式をすることです。
リンコは編み物がすごくうまくて、108個つくるとなったら、かなり大変ですが、
なにも、立派なものをつくったり、膨大な手間をかける必要はないのです。

流産を経験したある女性は、
レザーのポーチの中に、妊娠中に彼女がつけていたネックレスを入れ、花の種も入れて、森に埋めるという儀式をしました。
花の種が芽吹き、いつか花開くというイメージは、彼女に、生き直す力を与えました。
亡くした家族を記念して、木を植えた家族もあります。
大切な記念の日に、花を飾り、キャンドルを灯す ということをする人もいます。
手紙を書く人もいます。
絵を描くのもお勧めです。

なんでもいいのです。
心が落ち着きそうだと、感じることをやってみましょう。
ひとりでやってもいいし、信頼できる誰かと一緒にするのもいい。
どうしようもない心の痛みを抱えているときに行う儀式。
これも、アートセラピーの一つの形です。
儀式はあなたの心の奥底に触れ、優しくあなたの歩みを後押ししてくれるでしょう。