
アートで心を癒す。そんな経験したことがありますか?
言葉にならない様々な感懐が、心に身体に沁みてくる・・・そんなアート経験ができるひとつの美術館をご紹介します。
瀬戸内海の島、豊島にある「豊島(てしま)美術館」です。
最近、この美術館を久々の一人旅で訪れ、ほんとうに素晴らしい時間を過ごせましたので、今回はその経験と、アートの癒し力についてお伝えします。
豊島美術館のコンセプト

この不思議な形状の建物が、豊島美術館なんですが、
豊島美術館にあるのは、たったひとつの作品 です。
作品がひとつだけって、どういうこと?って思いますよね。
美術館といえば、作品がいくつも並んでいて、それを順々に見てまわるもの、というイメージが一般的かと思いますが、ここは全く違うコンセプトで作られています。
「豊島美術館ハンドブック」によると、
- ・美術と建築の一体化
・生きる喜びを感じられる場所をつくる
・ポジティブなエネルギーを豊島から世界へ発信する
というコンセプトで美術館をつくることが企画され、
この願いを実現できるアーティストに制作が依頼された ということです。つまり、もともと作品があってそれを収めるハコをつくったのではない、わけですね。
つまり、豊島美術館という場所自体が、アーティスト・内藤礼さんと、建築家・西沢立衛さんによるコラボレーション作品なのです。
いのちを感じる癒し空間

入口から中を一望した瞬間、そこが神聖とも言えるほど静かで平和な、特別な場所であることが感じられます。
そこは、直線的な部分が全くない、有機的な白い空間です。柱や仕切りは一切ありません。
照明は、天井の大きな採光部からの自然光のみ。通常の窓のようにガラスがはまってはいないので、外部の風が入り込みます。鳥のさえずりも聞こえます。
室内でありながら、豊島の自然のゆたかさをおだやかに体感できる場所なんです。

床面には大きな水たまりができています。
天井に大きな穴が開いているのですから、雨が入り込んで水たまりになってしまったのかと思いきや、これは水をテーマにした作品なのです。
床面にところどころ小さな穴があって、そこから水が少しずつ湧き出て、緩く傾斜した床を水滴が滑っていき、様々な形状の水の塊が生まれていきます。
豊島美術館では「ひとり」がおすすめ

場内面積は、学校の運動場ぐらいでしょうか。鑑賞者は、自由に中を歩き回ったり、床に座り込んだりして、時をすごすことができます。
もう、ほんとに、ぼおおーーーーっとできますよ。
室内なんだけど、閉塞感は全くなく、どこまでも開かれている感じ。それでいて、他のところとは隔絶した、守られた安全な空間。時間の流れが、全然ちがうんです。
広い空を眺めたり、床を滑る水滴の小さな世界を見たり・・・頭をからっぽにして、すきなだけ、何もしない時間を満喫できます。
だから、ここにはぜひ、一人で行くことをお勧めします。同好者がいると、どうしても相手を気遣って「そろそろ出なくちゃいけないかな」なんて思って、この世界に浸りきれないんじゃないかなと思います。
本当はもっといたかったけど、バスに乗って港に向かわなければいけない時間が来てしまい、私が滞在したのは1時間ほどでした。
アートの癒しの力

言葉にならないものが、身体の中に、心の中に沁みわたっていくアート体験でした。
今回の記事で、だいぶ頑張って感想を言語化してみましたけど、ほんとうは、もっといろいろなことを感じていたような気がしています。
上手く言えないけど、確実に何かを受け取り、心の芯の方で何かが変わった、そんなアートの癒し力を実感しました。
必ずまた行こう。そう思っています。
訪れる季節や時間帯によって、まるで違う経験ができるでしょうし、雨の日はどんな感じなんだろうかというのも気になります。また、朝いちばんの鑑賞では、何もない床面に水が生まれてくる瞬間が見られるそうなので、ぜひこれも狙ってみたい。
なんだか、「また行こう」と言うより「またこの場所に帰ろう」という感じなんです。こんな気持ちになれるなんて、アートってすごいですね。
心が疲れたとき、傷ついているとき、そんな心に効く究極の癒し空間として、豊島美術館、ぜったいお勧めですよ。
豊島美術館は海外からも高評価

海外でも豊島美術館はかなり有名らしくて、イギリスの「日本のお勧め美術館」の書籍の表紙は豊島美術館でした。
また、高校の英語の先生に聞いたところでは、「ALT(英語指導助手)たちが、必ず行きたがる」んだそうで、もしかすると日本人よりも海外の人の方が知っていたりするのかもしれません。
参考までに、豊島美術館へのリンクを貼っておきますね。
心に働きかけるアートの力については、これからも折に触れてお話したいと思います。
アート鑑賞に関する次の記事も、よかったら合わせてどうぞ。
