
働くこと、生きること。その価値観は人それぞれ、さまざまですよね。
いろいろあっていい。
だから今、改めて、「賃金を得るための労働」ではない「働くこと」について考えてみたいと思います。
今回の記事では、特に、感情とか心に関わる働きについて書いていきます。
お金に換算できない「働き」の価値

生きていくためには、お金を得るための労働は、もちろん大事です。お金がなければ暮らしていけないですからね。
でも、今わたしは、あえて「働くって、ほんとは、お金のためだけじゃないはずだよね」っていうところを話題にしたいと思います。
「賃金が発生しない、だけど大事な仕事」って、世の中たくさんありますよね。
その筆頭が「家事」とか「子育て」に関わる働き。
毎日家族のために衣食住を整えることや、24時間待ったなしの赤ちゃんに関わり続けることは、企業等の労働基準に照らして考えるなら、もうブラックもブラック。ですが、家事や子育ては立派な労働だよね!ということが認知されるようになったのは、そんなに昔のことではありません。
ボランティアという働きもそう。ボランティアなしには成立しない場も数多くあります。多少の謝礼が発生する場合もありますが、賃金ではありませんよね。
要は誰かのために自分の身体や時間を提供すること。これはすべて「はたらく」ことと同義だと思うんです。
心を働かせるという「労働」のかたち

私はクリスチャンなのですが、教会も世間と同じく少子高齢化が進んでいまして、実働的に教会の働きに関われる信徒が減っているのが実情です。体が弱って、教会に来ること自体が難しいという方もたくさんおられます。
でも、実は、そういう方こそ、教会にとって大事な働きを担ってくださっているんですよね。
それは「時間をかけて、心に掛ける」ということです。
私たち「勤労世代」の人間って、目の前の用事に忙殺されて、知らず知らず、大事なことを後回しにしてしまいがちだと思うんです。
例えば、長らく会っていない友達のことを、ふと思い出して「久しぶりに連絡を取ってみようかな」って考えたとします。だけど、「時間があるときに」って考えて後回しにし、そのまんま。そうして、年賀状だけのお付き合いになり、次第にドロップアウトしていく・・・こんなことになっているのは私だけじゃないと思います。
友だちのことは大事だと思っているのに、ないがしろにしてしまっている現実があるわけです。

だけど、実務を離れた方々は、ゆっくり時間をかけて「思いめぐらす」ことをしてくださる。
手紙を書くとか電話するとかのアクションはないかもしれない。でも、「想い」って、目には見えなくても、静かに豊かに影響すると私は思います。「誰かが気にかけてくれている」っていうのは、とても心強いことです。
そして、教会の場合は、「思う」だけでなく「祈る」という働きがあります。「○○さんのこと、よろしくお願いしますね」と、神さまに取り次いでくださっているのです。
生きること自体が「働く」こと

もうひとつ、生きること自体、その存在自体が「働く」ことと同義だという場合もあります。
例えば、重度の心身障害の方です。息をすること、食べること、身体を動かすこと・・・それがとてつもない重労働だという方がおられますよね。これを「大事じゃない、価値がない」などと言えるはずがありません。

以前、障害者施設を運営している方の講演で聞いた話を紹介します。
その施設に、重度の自閉症の方がおられて、日がな一日、寝転んだり、座り込んだりの状態で、特に何もせずぼーんやり過ごしている方がおられたそうなんです。そして、食事の時間だから食堂へ行こうと促しても、なかなか動かない。やっと歩き出しても、ちょっと行くと止まり、また座り込む。
だから介助者は、「んもー、早くしてよ」とイライラしてしまうわけです。
でも、あるとき、介助者さんは、「Aさんはいったい、何をしているんだろう」って思って、同じように座って、その視線の先を同じように眺めてみたんですって。
そしたら、例えば、木漏れ日が床に光と影の模様を作り出しているさまだったり、蟻が獲物を運んでいる様子だったり・・・
普段、さっさと通り過ぎてしまって目を向けることがなかった、いろいろなものが、そこにあったのです。
何もしていない、もっと言えば「怠けている」とさえ見えるAさんが、実に豊かな時間を過ごしていたことを介助者さんは知ります。
こうなると、Aさんはもはや「豊かな生き方を指南する先生」ですよね。これは、ものすごく大きな「働き」だと言えるのではないでしょうか。
まとめ:豊かな人生に向けて

今回は、効率を度外視した「働くこと」についてを書きました。いかがだったでしょうか。
豊かな「心の労働」をするくらしの実践は、なかなか出来るもんではないと思いつつ書いた記事でした。今は無理でも、少しずつこの域に近づいていきたいものだと思っています。
忙しさにキリキリと振り回される生活から、少し気持ちをラクにして、ゆったり物事に関わっていきたいですね。
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