
行き詰ったとき、どうしたらいいかわからないとき、選択に迷うとき・・・
考えても考えても堂々巡り。
そんなときは、論理的・言語的に考えることを止め、
感性・直感で、物事を見直すことが、打開策になるかもしれない、というお話です。
さらに、直感を生かすために「絵を使う」ことについても、お伝えしていきます。
「ときめき」で判断すること

以前、直感を生かす発想で大ブレイクした片付け本がありましたね。
「人生がときめく片づけの魔法」(近藤麻理恵 (著) サンマーク出版 (2010) です。
近藤麻理恵さんが提唱した片付け法のポイントは、
物事の判断基準を「自分の心がときめくかどうか」においたところでした。
片づけをする際には、まず自分の持ち物を棚卸しして「いる、いらない」を区別していくことが必要になりますが、
そのとき、「ときめくものは残す」「ときめかないものは処分だ」と言うのです。
頭でアレコレ考える「これは高かったからなあ」とか「いつか使うかも」などと理屈で決めるのではなくて、判断基準は「ときめき」。
つまり、直感です。
そして、本当に自分がときめくものだけに囲まれて暮らすことは、自分を大切にすることであり、
輝く人生につながっていくんだということを伝えた、画期的な本でした。
直感を無視することの弊害

さて、今回の記事は「片づけ」がテーマではありません。「直感が大事」という話です。
直感で物事を決めるというと、思慮不足で浅はかな感じを受けるかもしれません。
確かに、「ときめき♡」だけで瞬間的に決めてしまって、困ったことになるケースはあります。
例えば、イケメンに出会って「素敵♡」と一目ぼれして電撃結婚➡暮らし始めてみたら最低のクズ男だった・・・なんて場合。
でもね、あとになって振り返ると、「好き好き♡」で盲目になっていた最中にも、「あれっ?」と不安がよぎる瞬間があった・・・ということが多いんじゃないでしょうか。
相手の表情や態度に「変だな」「大丈夫かな」と何か感じていたのに、それを無視したり、
「いやいや、きっと~だからだ」と理屈で自分を納得させ、疑惑を打ち消してしまってた・・・なんてことが。
恋愛に限らず、
「あのときの”嫌な感じ”に、注意を向けていれば、こんなことにはならなかったのに」と思う経験は、誰しも持っているのではないかと思います。
理性と直感、どちらも大事

古くは紀元前、プラトンの時代から、「理性こそが人間を正しい方向に導くもので、直感や情動は悪だ」というふうに捉えられてきた歴史があります。
でも、実際は、直感や情動も、理性と同じくらい大事なのです。
「直感を大事にしよう」というのは、「これまで、あまりにもないがしろにされてきた部分を、もっと尊重していこう」ということなんです。
「ひらめき」と「モヤモヤ」

さて、これまで述べてきた「直感」とか「ときめき」は、「瞬間的にひらめく啓示」という印象が強いですが、
実際は、もっと弱かったり、モヤーっとしていたりするものも多いですよね。また、矛盾した感情が同時に湧いてきたり、混ざり合っていたりすることもあります。
そんな「モヤーッ」としたものを見る方法としてお勧めなのが、「アート」です。
未整理な思考を、アートで見る

美術評論家の椹木野衣さんは、まず、「思考」について、次のように言います。
(以下の引用文は、「感性は感動しない・・・見方、批評の作法」椹木野衣、世界思想社2018年 からです)
ものを考えるとは、読書のように、決められた行ごとに文字を右から左へと追っていくものではありません。
(p.14「かたまりとしての思考」)
初めからきれいにまとめて考えることなんかできない、というわけですね。
そして、論理的な思考について、
渾然一体としていた思いや感情や印象や考えの矛盾の「かたまり」のような豊かさが選別され、角を落とされ、成形されてしまうことも当然あります。これはある意味、とても惜しいことです。なぜなら、そういう腑分けされていない「かたまり」のような状態も、立派な思考だからです。(p.14「かたまりとしての思考」)
理路整然と、考えをまとめていくことで失われてしまうものがあるのですね。
そして、絵について、次のように言います。
絵というのは、実はこの「かたまり」としての思考に近い状態です。絵を描く人は、いろんなことを考え、感じ、思いながら絵を仕上げていきます。もちろん、その過程で時間は過去から現在、未来へと流れていきます。でも、完成した絵は、そうした時間をひとつの面のうえに圧縮した状態です。いわば過程が集積した「状態」です。(p.14「かたまりとしての思考」)
つまり、絵は、思考の「かたまり」であり、圧縮されたものなんだというのです。
そして、椹木野衣さんは、「絵を見ることで、自分の思い、未整理なままの考えと出会うことができる」という趣旨の勧めをしています。
アートと直感をどう生かすのか
今回の記事では、絵を描く、自分でアート表現をすることによっても「自分の情動・直感・考え」に出会うことができることを、椹木野衣さんの論に付け加えておきたいと思います。
だいぶ長文になりましたので、今回はこのへんで。次回は、アートの持つ機能をもう少し詳しくお伝えしたいと思います。