

箱庭療法をご存知ですか?
砂の入った箱の上にミニチュア玩具を並べて、自分の思うように情景を表現するもので、よく行われる心理療法です。
言葉なしで、視覚的直観的に、こころの情景が理解できるということで、特に日本人には向いていると言われます。
言葉での対話や解釈を一切せずに箱庭をつくるだけで回復していくことも、珍しくないようです。
今回は、無意識からのメッセージが姿を現す「箱庭療法」について、箱庭をつくる側としての経験をお話します。
私は、箱庭療法にセラピストとしてかかわった経験はないのですが、
作ってみた経験として、本当に味わい深いものなので、多くの方にお勧めしたいです。
HOW TO 箱庭 :砂と枠が心に働く

箱庭には、白い砂がたっぷり入っています。
砂を掘ると箱の内側に塗られた青い色が現れて、水が出るようなイメージになります。川とか海とかを表現できるわけですね。
そして、この「砂を触ること」が、箱庭療法ではとても大事。
砂をかき分けたり掘ったり指あとをつけたりしていると、気持ちがほぐれ、こころが退行状態に入っていくんです。

また、箱庭療法では、砂が四角い枠に囲まれていることになりますが、この「枠」が、心の安全を保障する働きをします。「この中でだけは、自由に思うようにしていいんだな」という防御壁を提供してくれるんですね。
HOW TO 箱庭 :ミニチュアを置くと心が動く

砂で、土台を形づくったら、あとは自由にミニチュアを置いていきます。
樹木、家、柵など、風景を構成するミニチュア。
人物、動物、ロボットなどの登場人物。
これらを配置していくうちに、箱庭には、今の自分の人生物語が、象徴的に表れてくることになります。
まさに今の私の問題はこれだ!と、怖いほど明瞭な「啓示」が、箱庭に現れていることもあります。
意味がわからないままの箱庭も、もちろんありますが、それはそれでいいのです。
わからなくても、意識の「検閲」をすり抜けて、無意識の世界からの物語が表出されることが、箱庭の値打ち。
解釈をしなくても、無意識レベルでは何かが変わり、物事が進んでいっているんです。

どんなミニチュアが用意されているかは、規定がなく、準備するセラピスト次第です。
だから、つくる側からすれば、欲しいなと思うものが棚にない、という場合も。
でも、とにかく、あるものの中から「これなら、まあいいか」と思えるものを選んで使っていくことになります。
これは、人生も同じですよね。
100%望み通りの人生なんてものはあり得なくて、誰でも、希望にできるだけ近いところで折り合いをつけながら何かを選択して生きていくわけですからね。
箱庭の作品例

こちらは、最近久しぶりに置いてみた私の箱庭です。
カウンセリングルームに通って、ときどき取り組んでいるのですが、数年前とはずいぶん変わってきたなあと感じています。
今回は、最近見た夢についての話し合いをしたあとでの箱庭でした。夢分析では、目指すゴールに一直線ではなくて、回り道をすることが今は大事なんじゃないかなという話をしていて、その「回り道」が、箱庭にも出てきたようです。

目的地である右奥のエリアは、茂みに囲まれていて、何があるのかわかりません。
でもとにかく、そこにぐるーっと遠回りして進んでいく。
このところ、迷って悩んで、堂々巡りの日々にクヨクヨしていましたが、「これでいいのだ」っていう覚悟ができた。そんな感じです。
つくってみて、なんだか得心がいったというか、「ああ、そうだね」と腑に落ちるような気持ちになりました。
セラピストの見守りの中で
心理療法として行う場合、安全を保障する枠として、セラピストの見守りという環境は必須。
お楽しみの体験として行う場合はかまいませんが、心と向き合う目的のためには、セラピストとともに行うことをお勧めします。
でもまあ、箱庭を思い立って自宅でやってみるということは、まず無理ですよね。たくさんのアイテムを用意することが必要なので。カウンセリングルームなどで体験できる機会があれば、ぜひやってみてください。とても興味深い経験になるはずです。
箱庭の代わりとしてのコラージュ
以前ご紹介した「コラージュ」は、「大掛かりな設備なしで箱庭のような効果を上げる療法はないか」というところから考案されたものです。
こちらは材料の準備が容易なので、ご自分で試してみることがしやすいでしょう。よければこちらの記事を続けてどうぞ。